人の体はとても不思議です。

オムツをするとトイレでなくても排泄が出来ます。小さなお部屋で排泄をしてしまうと臭いが室内にこもります。「何か臭う‥」これはストレスです。好きではない臭いがずっと鼻を刺激してしまいます。そうすると体はストレスを無くそうと嗅覚を低下させて臭いを感じなくなります。

これは年を重ねたから嗅覚が弱ったのではなく、嫌な臭いの環境の中で過ごすための進化なのではないかと考える様になりました。

嗅覚が落ちるとオムツの中では蒸れて痒くなってきます。「痒い痒い」とストレスを感じていると今度は身体が進化し、痒みの感覚を無くしてしまいます。

臭いも痒みも無いのですがオムツ内には理解出来ない物体が‥?何じゃこれ?う○ちだとは認識できません。

ですが下着の中にあると汚れます。おもむろに素手で取り出しゴミ箱に入れてしまう仕組みです。

これを介護の経験が無くて見ていると呆けたと感じます。呆けたのではなく、環境に適応した当たり前の行動なのだと思いました。

オムツを使うのが悪いわけではありません。ただオムツを使うとどうなるのかを知らないと介護が大変になってしまいます。

オムツを外し、トイレに行きたい時にさり気なくお手伝いをしてトイレで排泄が出来ると、感覚が戻ってきた方を何人も見てきました。そこから私は出来るだけトイレで排泄をして頂ける様にお手伝いをさせていただきます。オムツの中で排泄したとしても直ぐに交換し気持ち悪い状態から解放させていただきます。

そうすると不思議なのですが介護の関わる時間は少なくなりました。

育児をしていた時には子どもが泣いた時にお腹が空いているのか、眠いのか、オムツを変えて欲しいのかが分かった様に、高齢者の介護も仕草や、生活リズムを観察していると表現が違っていても何をして欲しいのかが分かってきます。

私は親と離れて暮らしているので親の介護をすぐには出来ません。介護の仕事をしていたのに身内の介護をしないまま祖父母は天国へ旅立ってしまいました。

なので介護現場でご利用下さる皆様の介護をさせていただいています。

人間の体ってとても不思議なのです。

文:椎野